前回、わが家は65歳で受け取るか繰下げ受給か、でも何歳から受け取ればいいのかはよく分からない、と書いた。
とりあえず何歳から受給したらお得になるのか、少し調べてみた。
受け取る時期は月単位で選べる
繰上げも繰下げも、年単位ではなく月単位で選べる。
- 繰上げ(65歳より前にもらう):1ヶ月あたり0.4%減
- 繰下げ(65歳より後にもらう):1ヶ月あたり0.7%増
だから63歳4ヶ月から、とか、68歳9ヶ月から、といった細かい選び方もできる。ねんきん定期便には65歳・70歳・75歳の3つしか書いていないので、その3択だと思い込んでいたけれど、実際はもっと自由だった。
何歳まで生きたら追いつくのか
65歳から受け取った場合と比べて、受け取った総額が逆転する年齢を調べてみた。
| 受け取り開始 | 年金額 | 追いつく年齢 |
|---|---|---|
| 60歳 | 24%減 | 約80歳10ヶ月 |
| 70歳 | 42%増 | 約81歳11ヶ月 |
| 75歳 | 84%増 | 約86歳11ヶ月 |
計算してみると、きれいな法則があった。
繰下げは、受け取り始めてから約12年で、65歳受け取りの総額に追いつく。
70歳から受け取るなら82歳、75歳から受け取るなら87歳。そう考えると、繰下げが不利とは言い切れない。
けれど、受け取る前に亡くなってしまう可能性もある訳だから何とも言えない。
見込額が、そのまま振り込まれるわけではない
ただ、ここまでは額面の話。
ねんきん定期便に書いてある見込額。あの金額がそのまま振り込まれるものだと思っていたのだけど、そうではないらしい。
そこから所得税や住民税、健康保険料、介護保険料などが引かれる場合があるのだ。「場合がある」と書いたのは、年金の収入や所得、住んでいる自治体によって変わるからだ。年金額が少ない人は税金がかからないこともあるし、逆に年金額が多い人ほど引かれる割合は大きくなる。
だから老後の生活費を考えるときは、年金の額面ではなく、実際に振り込まれる手取り額で考えることが大事になる。
では、どのくらい引かれるものなのか。調べてみると、額面から10〜15%ほど引いて、手取りは85〜90%くらいと見ておくと、ざっくりした資金計画は立てやすい、というのが一つの目安のようだ。
私は少し多めに、20%引かれるものとして計算している。多めに見積もっておけば、後から足りない、ということにはなりにくいだろうと思って。
そして繰下げで年金額が増えれば、その分引かれる金額も増える。だから手取りで見ると、追いつく年齢は表よりもう少し後ろにずれることになる。
繰上げには、お金以外の制限もある
繰上げでもう一つ知っておきたいのが、損得ではない部分の制限だ。
繰上げ受給を請求すると、その後に病気や怪我で障害が残っても、障害年金を請求できなくなるケースがある。そして一度請求すると取り消せない。
早くもらえる代わりに、いくつかの権利を手放すことになる。ここは総額の計算には出てこない部分だ。
結局どうするか
分岐点の年齢は分かった。でも、だから何歳から受け取ればいいのか、という答えにはならない。
何歳まで生きるかは誰にも分からないし、損得だけで決めるものでもない。年金は、長生きしてもお金が尽きないための保険のようなもの。
それに、うちの場合は「何歳からもらうと得か」以前の問題かもしれない、とも思う。
繰下げを選べるかどうかは、貯蓄と働き方次第だ。年金を受け取らずに、何歳まで暮らしていけるか。そこが見えないと、70歳まで待つという選択肢は、そもそも選べない。うちにとっての鍵は、何歳からもらうかよりも、何歳まで年金なしでやっていけるかの方なのだと思う。
だから、60歳近くになって、貯蓄や働き方が見えてきたときに、改めて考えることになりそうだ。今は、選択肢があることを知っておくだけでいい気がしている。
※増減率は昭和37年4月2日以降生まれの場合。それより前に生まれた人は繰上げの減額率が1ヶ月0.5%(60歳受け取りで30%減)
※繰下げで増額されるのは66歳以降に受け取り始めた場合。65歳から66歳になるまでに請求しても増額はされない
※国民年金と厚生年金は、繰下げなら別々に選べるが、繰上げは両方同時になる
※繰上げると、国民年金の任意加入や追納ができなくなるなどの制限もある
※年金額そのものは物価や賃金に応じて毎年見直される。繰上げで「減った金額が一生続く」というのは、減った割合が変わらないという意味
※年金からの天引き(特別徴収)の対象になるのは、年金の受給額が年18万円以上の人など。実際にいくら引かれるかは他の収入や控除によっても変わる



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