最近、ねんきん定期便を見ていて気づいたことがある。
老齢基礎年金の金額が、満額ではなかったのだ。
調べてみると、たった1ヶ月分が未納になっていた。私は3月生まれで、20歳の4月に就職した。年金は20歳になった月から加入することになるので、20歳の誕生月である3月は、本来なら国民年金を払わなければいけなかった。でも、払っていなかった。
たった1ヶ月。でもそのせいで40年(480ヶ月)に届かず、基礎年金は満額にならない。今まで、ねんきん定期便は届いていたけれど、よく意味も分からず支給見込額だけを見ていたのだ。
未納は、2年で時効
まず知ったのは、未納には時効があるということ。保険料を払える期限は、本来の納付期限から2年まで。それを過ぎると、払いたくても受け付けてもらえない。
30年以上前の私の1ヶ月は、もう追納することができない。「今から払います」と言っても無理なのだ。
でも、埋める方法があった
このブログを書いていて知ったことがある。それは、60歳からの任意加入だった。
国民年金に入る義務があるのは60歳まで。でも、480ヶ月に足りていない人は、60歳から65歳までの間、自分で希望して加入を続けることができる。足りない分を、あとから積み直せるということだ。
私の場合は1ヶ月。60歳になったら1ヶ月だけ任意加入すれば、480ヶ月に届いて満額になる。
任意加入には、落とし穴が2つある
ただ、「60歳になったらやればいい」と気楽に構えていると、できないことがある。
ひとつめは、厚生年金に入っていると任意加入できないこと。60歳を過ぎても会社で働いて厚生年金に入っている人は、対象外になる。60代前半も働くつもりなら、この計画は成り立たない。
ふたつめは、さかのぼれないこと。任意加入は申し出た月からの加入で、「去年の分も」とはできない。そして、「あと1ヶ月足りませんよ」というお知らせは届かない。自分で気づいて、自分で窓口に行った人だけが使える制度だ。
手続きは、60歳の誕生日の前日から。住所地の市区町村の国民年金窓口か、年金事務所で申し込む。
で、1ヶ月でいくら増えるのか
ここまで調べて、次に知りたくなったのがこれだった。1ヶ月埋めて、年金はいくら増えるのか。そして、何年で元が取れるのか。
令和8年度(2026年度)の金額で計算してみた。
- 老齢基礎年金の満額:年847,296円(月70,608円)
- 国民年金保険料:月17,920円
満額は、480ヶ月きっちり払った人がもらえる金額。だから1ヶ月分の値打ちは、847,296円 ÷ 480ヶ月 = 年およそ1,765円。月にすると約147円だ。
正直、最初は「たったそれだけ?」と思った。でもこれは、死ぬまで毎年もらえる金額だ。
17,920円 ÷ 1,765円 = 約10.2年
65歳から受け取るとしたら、75歳ごろに元が取れる。そこから先は、生きているかぎりずっとプラスになる。しかも年金額は毎年見直されるので、物価が上がればこの1,765円も一緒に増えていく。
さらに、あとで書く付加保険料(月400円)を一緒に払うと、こうなる。
- 払うお金:17,920円 + 400円 = 18,320円
- 増える年金:1,765円 + 200円 = 年およそ1,965円
- 18,320円 ÷ 1,965円 = 約9.3年
元が取れるのが1年近く早まる。たった400円で、である。
※金額は令和8年度のもの。保険料も年金額も毎年変わるので、実際に手続きする年の金額で計算しなおしてほしい。それと、この計算が成り立つのは480ヶ月に足りない分を埋める場合だけ。480ヶ月を超えて払っても、老齢基礎年金は増えない。
免除と未納は、まったく違う
収入が少ないときなどに手続きをして保険料を免除された期間と、何もせず払わなかった未納の期間。同じ「払っていない」でも、扱いがまるで違う。
- 免除:10年以内なら追納できる。追納しなくても、全額免除なら年金額の半分は反映される
- 未納:2年で時効。年金額にはまったく反映されない
さらに大きいのが、障害年金と遺族年金だ。これらを受け取れるかどうかの判定で、免除期間は「納めた」のと同じ扱いになる。でも未納はそうならない。これは、あとから任意加入しても取り返せない。
払えないときは、放っておかずに免除の手続きをする。それだけで、これだけ違う。学生なら学生納付特例という制度もある。
関連記事:子供が20歳になったら、年金の話を
ちなみに追納した保険料は、全額が社会保険料控除になる。所得があるうちに払えば、税金が戻ってくる分だけ実質的に安くなる。
おまけ:付加保険料は、2年で元が取れる
もうひとつ、FPの勉強で仕組みを知っていたが、自分に関係があるとは思っていなかった制度がある。付加保険料だ。
国民年金の保険料に月400円を上乗せして払うと、「200円×払った月数」が、毎年の年金に一生上乗せされる。2年受け取れば元が取れる計算になる。
この制度が使えるのは、国民年金の保険料を自分で払っている人(第1号被保険者)と、65歳未満の任意加入者だけだ。会社勤めで厚生年金に入っている人(第2号)も、その扶養に入っている配偶者(第3号)も、付加保険料は払えない。国民年金基金に入っている人も、併用はできない。
……と書きながら、私はここで勘違いをしかけた。「夫が60歳を過ぎても会社で働いて第2号のままなら、私はずっと第3号のまま=付加保険料は払えないのでは?」と思ったのだ。
でも、違った。第3号でいられるのは60歳になるまで。夫が何歳まで働いていようと関係なく、私は60歳になった時点で第3号ではなくなる。かといって自動的に第1号になるわけでもない(第1号も20歳以上60歳未満だから)。60歳からの私は、1号でも2号でも3号でもない人になるのだ。
だからこそ、自分から手を挙げる任意加入という制度がある。そして任意加入者になれば、付加保険料を払える対象にもなる。夫が第2号かどうかは、ここにはまったく関係がない。
私が1ヶ月だけ任意加入するなら、400円払って、毎年200円が一生。やらない理由がない。
ただし、これもさかのぼれない。任意加入の手続きと同時に「付加保険料もお願いします」と伝える必要がある。
お知らせは、来ない
ここまで調べて、一番強く思ったのがこれだった。
「あと1ヶ月足りませんよ」とは、誰も教えてくれない。ねんきん定期便にも、不足月数は書いていない。気づけるのは、自分で見た人だけだ。
私は50代になってようやく気づいた。それでも、60歳まではまだ時間がある。気づいたのが65歳を過ぎてからだったら、選べる道はもっと少なかった。
毎年誕生月に届くあのハガキ、捨てずに一度開いてみてほしい。見込額だけでなく、加入記録のほうを。
関連記事:ねんきん定期便で、自分の年金がいくらか計算してみる
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※任意加入できるのは、国内に住む60歳以上65歳未満で、保険料を納めた月数が480ヶ月未満の人(老齢基礎年金を繰り上げて受け取っている人は除く)
※全額免除期間が年金額の2分の1として反映されるのは、平成21年4月以降の期間。それ以前は3分の1
※追納は、3年度目以降の分に加算額が上乗せされる
※付加保険料を納められるのは第1号と、65歳未満の任意加入者


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