地震保険は、通常の火災保険では補償されない、地震・噴火・津波を原因とする損害に備える保険。本来なら必要な保険なのだけど、意外と保険金が出にくいらしい。今回、ある記事をきっかけに調べていくうちに、ちょっとした「不都合な真実」に行き着いた気がしたので、そのことを書いておきたい。
なかなか地震保険ではお金が下りないらしい
東日本大震災の時、柱が1本残っていたら全損に認定されなかったと学長ライブで聞いた記憶がある。そうなのかぁ、なかなか出にくい保険なのか〜と頭の片隅にあった。そして、それを証明する出来事があった。
2024年1月1日の能登半島地震だ。
能登半島地震で被災されたYさんの記事
2024年1月29日に被災者のYさんの記事を知った。
そこには
「地震保険に加入していて保険金の上限は1000万円だったが、保険会社の調査の結果、支払われる保険金は50万円と伝えられた」
「”すずめの涙”っていう言葉よく聞きますけど、どうにもならないですよ、そんなお金いただいても。払ってる金額の方が何倍も払ってるんですよ」とYさんご本人が自宅でのインタビューで語っていた。(50万円なので一部損(5%)の判定)
消えた記事
その直後に「地震保険の現実 新潟」で検索したら、同じYさんの記事が何件かあった。午前中は読めたのに、同じ日の午後にはもう消えていた。Yahooニュースも日テレの記事も翌日には同じように消えていて、別のニュースで残っていたのは「地震保険にかけていたがそれだけでは賄えない状態」というアナウンサーの声のみだった。ご本人の生の声が、いつの間にか短い説明に置き換わっていた。保険会社にとって都合の悪い話だったから消されたのかな、と私は勝手にそう思っている。
続報を見つけた
今回この記事を書くにあたり改めて検索してみたら、2024年2月10日付けの記事が見つかった。そこには2回目の調査が行われ、鑑定士が「全損の認定基準を超えています」と話す場面があった。(全損(100%)なので保険金は1000万円。)
その記事には「液状化被害の場合は、必ず2回の調査が行われます」と書いてあったが、調べてみるとそれは正しくなく、通常は1回の調査で判定が確定するケースがほとんどで、2回目が行われるのは特別な事情がある例外らしい。
実際、日本損害保険協会の資料でも、より詳細な調査が必要な場合に限って第二次査定を行うとされている。
「より詳細な調査を要する場合には、第二次査定を実施することがあります」
(出典:日本損害保険協会「地震保険 損害の認定基準について」2ページより)
私の感覚では、ほとんどのケースはこの「1回で終わる通常パターン」で処理され、程度にもよるけれど一部損判定で終わることが多いのではないかと思う。Yさんのケースでこの例外的な2回目の調査が行われたのは、メディアで大きく取り上げられたことで、保険会社側が動かざるを得なかったからかもしれない。もしメディアに取り上げられていなかったら、最初の「50万円」のまま終わっていたのではないだろうか。
地震保険がなぜ出にくいのか
改めて調べた結果。
①支払金額の上限が時価(現在価値)であり、しかも火災保険金額の30〜50%までしか出ない。
②建物の損害を調査して、全損(100%)、大半損(60%)、小半損(30%)、一部損(5%)の4区分で保険金が支払われる。
③判定は、建物の柱や壁など「主要構造部」の損害割合や、建物の傾き・沈下の程度を基準表に当てはめて機械的に行われる。実際に住めるかどうかという生活実感とは必ずしも一致せず、基準に届かなければ被害が大きくても保険金がわずか、ということが起こる。ちなみに、Yさんの「上限1000万円で50万円」というのは、ちょうど一部損(5%)の金額と一致する。最初の調査では一部損と判定されていたのだろう。
これは、地震保険の目的が家の再建でなく、当面の生活支援のためだからだ。
なので、自分で貯めておくという考えの方が理にかなっている。
それでも地震保険を検討していい人
一方、地震保険を検討してもいい方がいるのも事実。特に、「生活防衛費」がない方でハザードマップで確認して自宅が全損する可能性が極めて高い人、そして自宅(一軒家)が新築で十分な資産価値がある人など。
生活防衛費を貯めよう
地震保険が下りるのは当面の生活支援の為のお金だ。地震保険の年間保険料(数万円)を保険会社に支払うより、生活防衛費の口座に積み立てていく方が他のことにも使える。
そして、生活防衛費は1〜2年分ぐらいの生活費を貯めておこう。


コメント